ストーカー対策

ストーカー被害の現状と警察の対応

ストーカー被害の現状と警察の対応

ストーカー被害が毎年増え続けています。その中には、悪質な事件も数多く含まれています。

しかし、残念ながら警察や自治体のストーカーへの対応は不十分なケースが多く根本的な問題解決はできていません。

そもそも、ストーカー被害の問題を解決するためには、警察に頼るだけでは難しいのかもしれません。ストーカーの被害状況をまとめてみました。

ストーカーと警察の対応

警視庁のストーカー対策室集計によれば、平成24年のストーカー行為などの相談を受理した件数は1473件と、前年に比べて444件も増加しています。そして受理した件数に比例して、ストーカーへの警告実施の件数も107件増えています。

しかし、444件に対して107件というのは決して多い数ではありません。「ストーカー行為を受けていますから何とかしてください」と警察へ訴えても対応して貰えなかった人が300人以上いるということです。

そしてストーカー被害者1437人のうち1231人(85,7%)は女性で、大半が20代~30代です。男女の割合や年代は過去4年間とそれほど変わっていませんが、被害者の人数は確実に増えているのです。

ストーカー加害者と被害者の関係で一番多いのが交際相手もしくは元交際相手です。1437件中892件と6割を占めています。知人関係などの141件、職場関係の92件、配偶者もしくは元配偶者の69件などを含めると、全体の9割が顔見知りからストーカーを受けていることになります。

また、ストーカー行為の中でもっとも件数が多いのが要求行為、つまり面会や交際など義務のないことを要求することです。拒否されている相手にいくら会いたいといっても嫌がられるだけだということにさえ気付かないのです。もしくは「好意の感情が満たされなかったことへの恨みの感情を満たすため」なのかもしれません。

このように、ストーカー犯罪の多くは元交際相手が多いためストーカーをおこなう人物の特定はすでに出来ています。

もっと警察は有効な方法が取れないのかと疑問に思います。

警察庁の有識者検討会

東京都三鷹市で女子高生がストーカーに殺害されるなど、ストーカー事件は減少する気配がありません。そんな中、相次ぐストーカー被害を防ぐための対策を議論する、『警察庁の有識者検討会』が先日開かれました。

ストーカー規制法を制定するきっかけとなった「桶川ストーカー殺人事件」で娘さんを亡くした猪野さん夫妻も委員として列席し、ストーカー加害者の更生に向けた方策や被害防止への取り組みが本格的に始動する気配です。

検討会はこれより月1回のペースで開催され、来年の夏ごろには報告書ができ上がる予定ですが、有効な対策が浮かべば「報告書を待たずに施策に反映させたい」としています。

桶川ストーカー殺人事件とは

ストーカー問題を考えた時に、必ず出てくるのが「桶川ストーカー殺人事件」です。この事件によりストーカー規制法という法律ができたのです。

1999年に埼玉県桶川市で女子大生のIさんが元交際相手とその兄が仕向けた男によって殺害された事件です。

元交際相手のストーカーは、交際中からIさんを異常に監視したり、暴力をふるうようになりました。Iさんは恐怖心や不信感を抱き一度は別れようとしましたが、Iさん本人だけでなく家族にも危害を加えると脅迫され交際を続けざるをえませんでした。

それから殺害されるまでのあいだ、交際相手のグループから監視・中傷・脅迫・プライバシーの侵害などありとあらゆる集団ストーカー行為を受け続けることとなったのです。

その被害はIさんの家族にも及び、父親の勤務先に300枚近くの事実無根の誹謗中傷のビラが貼られたこともありました。しかし脅迫された際に録音したテープを警察に持っていっても民事不介入として相手にしてもらえず、名誉毀損のビラについても対応してもらえず、Iさんは警察に何もしてもらえないまま命をおとしました。

この事件はストーカーの恐ろしさだけでなく、警察の怠慢な捜査も発覚した事件となったのです。

ストーカー問題を警察だけに頼らない

警察のストーカー対策は、ひと頃よりも改善は見られますが、基本的には犯罪性が見られない事件には不介入という考え方は大きく変わっていません。ストーカー対策というものに本腰を入れていない現状では、ストーカー問題を警察だけに頼り切るのは危険です。

探偵のような調査力があって証拠残しに強い民間企業に問題解決を相談することが大きなトラブルを未然に防ぐ処方箋なのではと考えます。